経絡治療基本30証、そしてその先へ。 | 関西大阪での鍼灸・経絡治療の勉強会・セミナー、(一社)日本はり医学会(旧東洋はり医学会関西)


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2019.01.16

経絡治療基本30証、そしてその先へ。

経絡治療基本30証

✅69難型単一主証(5証)|✅69難型実証(5証)|✅75難型微邪証(5証)|✅81難型賊邪証(5証)|✅相剋証(10証)|からなる計30通りを基本証とする。

 

✅69難型単一主証(5証)

①肝虚証。

肝腎虚、肺脾実、心平。

適応側の肝を補い、必要に応じて腎を補う。

②心虚証。

心肝虚、腎肺実、脾平。

適応側の心(包)を補い、必要に応じて※反対側の肝を補う。

※同側の心肝を補うとロクなことにならない。

③脾虚証。

脾心虚、肝腎実、肺平。

適応側の脾を補い、必要に応じて心(包)を補う。

④肺虚証。

肺脾虚、心肝実、腎平。

適応側の肺を補い、必要に応じて脾を補う。

⑤腎虚証。

腎肺虚、脾心実、肝平。

適応側の腎を補い、必要に応じて肺を補う。

 

✅69難型実証(5証)|✅75難型微邪証(5証)

①69難型肺虚肝実証。

肺脾虚、肝病実。

適応側の肺を補い、必要に応じて脾を補い、必要に応じて反対側の肝を瀉す。

※適応側を左右に振り分けて補瀉する。

①75難型肺虚肝実証。

肺腎虚、肝心実、脾平。

適応側の腎を補い、同側の肝または心を瀉す。

※75難の特徴は、親が返せなくなった借金を子供が返すと考える。

また必ず同側で補瀉を完結させる。

②69難型肝虚脾実証。

肝腎虚、脾病実。

適応側の肝を補い、必要に応じて腎を補い、必要に応じて反対側の脾を瀉す。

②75難型肝虚脾実証。

肝心虚、脾肺実、腎平。

適応側の心(包)を補い、同側の脾または肺を瀉す。

③69難型脾虚腎実証。

脾心虚、腎病実。

適応側の脾を補い、必要に応じて心(包)を補い、必要に応じて反対側の腎を瀉す。

③75難型脾虚腎実証。

脾肺虚、腎肝実、心平。

適応側の肺を補い、同側の腎または肝を瀉す。

④69難型腎虚心実証。

腎肺虚、心病実。

適応側の腎を補い、必要に応じて肺を補い、必要に応じて反対側の心(包)を瀉す。

④75難型腎虚心実証。

腎肝虚、心脾実、肺平。

適応側の肝を補い、同側の心または脾を瀉す。

⑤69難型心虚肺実証。

心肝虚、肺病実。

適応側の心(包)を補い、必要に応じて※反対側の肝を補い、必要に応じて反対側の肺を瀉す。

⑤75難型心虚肺実証。

心脾虚、肺腎実、肝平。

適応側の脾を補い、同側の肺または腎を瀉す。

 

 

 

 

 

✅81難型賊邪証(5証)

①81難型肝虚肺実証。

肝腎虚、肺病実。

適応側の肝を補い、必要に応じて腎を補い、必要に応じて反対側の肺を瀉す。

②81難型心虚腎実証。

心肝虚、腎病実。

適応側の心(包)を補い、必要に応じて※反対側の肝を補い、必要に応じて反対側の腎を瀉す。

③81難型脾虚肝実証。

脾心虚、肝病実。

適応側の脾を補い、必要に応じて心(包)を補い、必要に応じて反対側の肝を瀉す。

④81難型肺虚心実証。

肺脾虚、心病実。

適応側の肺を補い、必要に応じて脾を補い、必要に応じて反対側の心(包)を瀉す。

⑤81難型腎虚脾実証。

腎肺虚、脾病実。

適応側の腎を補い、必要に応じて肺を補い、必要に応じて反対側の脾を瀉す。

 

✅相剋証(10証)

①肝肺相剋証。

肝腎肺虚、脾実、心平。

適応側の肝を補い、必要に応じて腎を補い、必要に応じて反対側の肺を補う。

※相剋証は適応側を左右に振り分けた重虚極補の相剋調整。肝虚と肺虚が同時に起こっている証。

②肝脾相剋証。

肝腎脾虚、肺実、心平。

適応側の肝を補い、必要に応じて腎を補い、必要に応じて反対側の脾を補う。

③心腎相剋証。

心肝腎虚、肺実、脾平。

適応側の心(包)を補い、必要に応じて反対側の腎を補う。

④心肺相剋証。

心肝肺虚、腎腎、脾平。

適応側の心(包)を補い、必要に応じて反対側の肺を補う。

⑤脾肝相剋証。

脾心肝虚、腎実、肺平。

適応側の脾を補い、必要に応じて心(包)を補い、必要に応じて反対側の肝を補う。

⑥脾腎相剋証。

脾心腎虚、肝実、肺平。

適応側の脾を補い、必要に応じて心(包)を補い、必要に応じて反対側の腎を補う。

⑦肺心相剋証。

肺脾心虚、肝実、腎平。

適応側の肺を補い、必要に応じて脾を補い、必要に応じて反対側の心(包)を補う。

⑧肺肝相剋証。

肺脾肝虚、心実、腎平。

適応側の肺を補い、必要に応じて脾を補い、必要に応じて反対側の肝を補う。

⑨腎脾相剋証。

腎肺脾虚、心実、肝平。

適応側の腎を補い、必要に応じて肺を補い、必要に応じて反対側の脾を補う。

⑩腎心相剋証。

腎肺心虚、脾実、肝平。

適応側の腎を補い、必要に応じて肺を補い、必要に応じて反対側の心(包)を補う。

 

 


 

 

以上が基本証で、後は応用です。

経絡治療の生みの親である井上恵理先生は、1,500通りの証が在ると仰っています。

「心に虚なし腎に実なし」とする肝脾肺腎の虚証だけで治せる病気は限りがあります。

多様化する一方の現代病や難病難症を、一本の鍼とひとつまみの艾で、癒し和らげ治し防ぐためには、「五臓全てに虚実あり」とし、さらにそこから発展させる必要があります。

臨床で患者と四つに組んでいれば自ずとそうなります。

患者は平気で理論を超えてきます。

平気で理論(病因病理)を超えてくるのが臨床です。

認めたくはありませんが認めざるを得ないのが臨床です。

頭と体にたっぷりと汗をかいて心を尽くして工夫してください。

 

中野正得