日本はり医学会方式では、5つの基本証を立て、証に随い主たる変動経絡を整脉力豊かに補うと、本当の証が脉証と腹証に現れます。
その枝分かれは6パターン。
- 単一主証で完結するパターン
- 陰実証で相剋の畏経(相侮)の実を瀉すパターン
- 陰実証で相剋の剋経(相乗)の実を瀉すパターン
- 七十五難で子経の実を瀉すパターン
- 相剋証(相剋調整)で相剋の畏経(相侮)を補うパターン
- 相剋証で剋経(相乗)を補うパターン
基本証5×6パターン=30証
これを、
日本はり医学会臨床三十証
と定義します。
臨床三十証を駆使して現代医学の不可能を可能にしましょう!
基本証|単一主証|5証
単一主証で完結する場合の相剋経の実は旺気実です。
経絡のバランスが崩れたことで相対的に実しているだけで、邪気が発生して実しているわけではありません。
主たる変動経絡を整脉力豊かに補えば、自ずと旺気実は治まります。
肝虚証
適応側の肝経を補う。必要に応じて母経の腎経を補い、陽経の虚実を弁え補瀉調整する。
心虚証
適応側の心包経または心経を補う。必要に応じて母経の肝経を補い、陽経の虚実を弁え補瀉調整する。
脾虚証
適応側の脾経を補う。必要に応じて母経の心包経を補い、陽経の虚実を弁え補瀉調整する。
肺虚証
適応側の肺経を補う。必要に応じて母経の脾経を補い、陽経の虚実を弁え補瀉調整する。
腎虚証
適応側の腎経を補う。必要に応じて母経の肺経を補い、陽経の虚実を弁え補瀉調整する。
陰実証|10証
主たる変動経絡を整脉力豊かに補ったにもかかわらず相剋経の実が治まらない証。
つまりその実は旺気実ではなく、邪気による病実だったということ。
躊躇せず邪気実を瀉す証。
肝虚脾実証
適応側の肝経を補い、必要に応じて母経の腎経を補い、反対側(同側の場合もある)の脾経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
心虚肺実証
適応側の心包経または心経を補い、必要に応じて母経の肝経を補い、反対側(同側の場合もある)の肺経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
脾虚腎実証
適応側の脾経を補い、必要に応じて母経の心包経を補い、反対側(同側の場合もある)の腎経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
肺虚肝実証
適応側の肺経を補い、必要に応じて母経の脾経を補い、反対側(同側の場合もある)の肝経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
腎虚心実証
適応側の腎経を補い、必要に応じて母経の肺経を補い、反対側(同側の場合もある)の心・心包経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
肝虚肺実証
適応側の肝経を補い、必要に応じて母経の腎経を補い、反対側(同側の場合もある)の肺経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
心虚腎実証
適応側の心包経または心経を補い、必要に応じて母経の肝経を補い、反対側(同側の場合もある)の腎経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
脾虚肝実証
適応側の脾経を補い、必要に応じて母経の心包経を補い、反対側(同側の場合もある)の肝経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
肺虚心実証
適応側の肺経を補い、必要に応じて母経の脾経を補い、反対側(同側の場合もある)の心・心包経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
腎虚脾実証
適応側の腎経を補い、必要に応じて母経の肺経を補い、反対側(同側の場合もある)の脾経を瀉す。陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
七十五難型陰実証|5証
( )内が難経に記載されている正式な名称ですが、臨床実践しやすいように『よくわかる75難』として当会独自の証名に改めました。
腎虚肝実証(七十五難型肺虚肝実証)
適応側の腎経を補い、反対側(同側の場合もある)の肝経を瀉す。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
肝虚心実証(七十五難型腎虚心実証)
適応側の肝経を補い、反対側(同側の場合もある)の心包経または心経を瀉す。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
肺虚腎実証(七十五難型脾虚腎実証)
適応側の肺経を補い、反対側(同側の場合もある)の腎経を瀉す。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
脾虚肺実証(七十五難型心虚肺実証)
適応側の脾経を補い、反対側(同側の場合もある)の肺経を瀉す。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
心虚脾実証(七十五難型肝虚脾実証)
適応側の心包経または心経を補い、反対側(同側の場合もある)の脾経を瀉す。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
相剋証|10証
福島弘道先生が提唱された重虚極補の相剋調整療法。
肝脾相剋証
適応側の肝経を補い、反対側(同側の場合もある)の脾経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
心肺相剋証
適応側の心包経または心経を補い、反対側(同側の場合もある)の肺経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
脾腎相剋証
適応側の脾経を補い、反対側(同側の場合もある)の腎経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
肺肝相剋証
適応側の肺経を補い、反対側(同側の場合もある)の肝経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
腎心相剋証
適応側の腎経を補い、反対側(同側の場合もある)の心包経または心経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
肝肺相剋証
適応側の肝経を補い、反対側(同側の場合もある)の肺経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
心腎相剋証
適応側の心包経または心経を補い、反対側(同側の場合もある)の腎経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
脾肝相剋証
適応側の脾経を補い、反対側(同側の場合もある)の肝経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
肺心相剋証
適応側の肺経を補い、反対側(同側の場合もある)の心包経または心経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
腎脾相剋証
適応側の腎経を補い、反対側(同側の場合もある)の脾経を補う。必要に応じて陽経の虚実を弁えて補瀉調整する。
※適応側は基礎基本を踏まえて宮脇スタイル(※現在は日本はり医学会方式による適応側の判定方法が正式名称)で判定します。
解説動画をご覧ください。