第15回公益社団法人日本鍼灸師会全国大会in静岡
圧巻の鍼灸実技講座
中野正得会長が、同大会最終プログラムとなる鍼灸実技講座「実践!誰にでもできる脉診流経絡治療・実演」にて大トリを務められ、圧巻のパフォーマンスで会場中を魅了されました。
前代未聞の実技講演!!!
演題にもある❝誰にでもできる脉診流経絡治療❞を証明するために、85分という講演時間内で、会場の中から募った2名に補瀉の基本刺鍼を指導し、更にモデル患者も会場から募ってベッドに上がってもらい、指導した2名に今習ったばかりの補法と瀉法で本治法をしていただき、モデル患者の体を変化させるまでを行うという、学会や業団の大会において、我々が知る限りでは記憶にない、前代未聞の実技講演をやってのけられました。
「脉診流経絡治療の補法と瀉法の基本刺鍼を今すぐこの場で習得したい方~」と中野会長が募ると、
中野正得会長と城田幸希子会員
立ち見が出るほど満員の会場の中から数名の鍼灸師・鍼灸学生が手を挙げられました。
その中から男女2名の方を選抜し、男性の方には補法、女性の方には瀉法の基本刺鍼を指導されました。
手から手への実技指導を行う中野会長
手から手への実技指導
先ずは中野会長がお二人の前腕にそれぞれ、補法と瀉法の基本刺鍼を行い、今度はお二人の鍼を受けられ、細かく修正点を指導し、もう一度鍼を打ってもらうという、普段の例会さながらに、❝やって見せてやってもらって言って聞かせてまたやってもらう❞手から手への実技指導による技術の伝達を行われました。
手から手への実技指導を行う中野会長②
補瀉の基本刺鍼の指導を終えると、もう一度会場に向かって「モデル患者になって脉診流経絡治療の本治法を実際に受けて体験してみたい方~」と呼びかけると、やはり数名の方々が手を挙げられ、男性の鍼灸学生さんが選ばれました。
主訴は咳喘息ということで、中野会長が問診をされ、解説を交えながら、経絡腹診、脉診を行い証を決定されました。
その間、助手として参加された当会会員の城田幸希子先生が、中野会長から基本刺鍼を習われたお二人に、繰り返し技術指導を行い本番に向けて仕上げていかれました。
実技指導を行う城田幸希子会員
やって見せてやってもらって言って聞かせてまたやってもらう
証決定は肝虚肺実証。
適応側は左側。
選穴は中封。
ここで、本治法に行くのかと思いきや、近くにいた男子鍼灸学生を呼ばれ、前に出て来てもらい何かを始める模様。
中野会長が先に切経して確認された、モデル患者の頚肩のコリと胸の熱感を彼にも触って確認してもらい、中野会長が左側の中封を示指で軽く触ると頚肩のコリが緩み、次いで右尺沢を瀉的に触ると胸の熱感が引くのを、再び彼に確認してもらうと、「ほんとだ!スゴイ!!」とビックリされていました。
さらに反対側の中封を触ると、緩むどころか逆に硬く張ってくるというところまで見せてあげておられました。
男子鍼灸学生も変化がよく分かるようで、「スゴイ!スゴイ!!」を連発されていました。
彼は凄く貴重な体験をされたと思います。
しかも中野会長の直接の指導だなんてうらやましすぎます!!!
もちろんその様子を見られていた会場からも驚きの声があちこちから上がっていました。
ここぞとばかりに、中野会長がたたみかけられます。
「こういうふうに、体にとって良いことをすると改善する方向に動き、良くないことをすると悪化するんだということを、教育現場で鍼灸師・鍼灸学生に見せてやらせて体験させてあげると、伝統鍼灸に興味を持ってもらえます。臨床であれば患者説得に使え、継続治療に繋がります。」
何とここでも別の角度から、❝やって見せてやってもらって言って聞かせてまたやってもらう❞を実践され、その必要性を事実を以て説かれました。
会長、納得の一言です(ToT)/~~~
真剣に聞き入られるみなさん
そして伝説へ…
いよいよ、その時が来ました。
咳喘息を主訴にベッドに上がられたモデル患者への本治法。
しかもそれを為すのは、中野会長ではなく、中野会長と城田先生がこの場で指導して急造で育成された、脉診流経絡治療初心者のお二人です。
先ず男性の方が左中封への補法。
中野会長がモデル患者の脉を診ながら、取穴~刺鍼、抜鍼のタイミングまでを的確に伝えると、彼はそれを確認しながら見事な手さばきで遂行されていきました。
次いで、女性の方が右尺沢への瀉法。
女性特有のしなやかで柔らかい手さばきで肺実を瀉されました。
お二人の手によって見事に生命力を強化されたモデル患者の頚肩は緩み、咳き込んで胸に昇ったであろう熱感が引いたのが、中野会長と先の適応側の判定などで前に出てきてもたった男子鍼灸学生によって確認されました。
こうして、中野会長が掲げた、脉診流経絡治療は正しい指導の下、誰にでもできるということを実践し、証明されました。
補法をする男性の方とそれを導く中野会長
中野会長から鍼灸会への提言
最後に、「これからの鍼灸師に求められるのは、已病治療は元より、未病治療です。已(すで)に病んでいる身体を治すのもそうですが、未だ病まざるを治すためには生命力の強化が必要です。生命力の強化を行うためには日本伝統鍼灸を習得してください。一番の近道は師匠について修行に励み、3~5年はじっくりと習うのが最もいい方法です。しかしながら徒弟制度が崩壊したといっても過言ではない現代においては無理な話です。けれども、優れた指導者に習うことができれば弟子入りせずとも習得は可能です。優れた指導者に出逢うために学術団体に入会してください。良否の基準は手から手への技術指導による実技主体の会であるかどうかです。生命力の強化を行っている流派はたくさんありますが、日本伝統鍼灸学会の賛助会員で調べてみてください。そして聴講に行って実際にご自身の目で耳で五感で確かめて所属先を決めてください。それが私たちが主宰する一般社団法人日本はり医学会ならなお嬉しいです(^_-)-☆」として締められました。
謝辞
中野会長はやっぱり臨床ファンタジスタでした。
講師が実技公開する従来の実技講座ではなく、いわば公開実技指導を、栄えある公益社団法人日本鍼灸師会の全国大会の大トリで成し遂げられたのですから。
また、これだけの大人数の前へ出てこられた4名の鍼灸師・鍼灸師学生の方々には敬意を表します。
勇気のいることで中々出来るものではありません。
その積極性は見習わなければならないと思いました。
会長は常々、私たち会員のことを、自分の誇りだと仰ってくれていますが、中野会長は私たちの誇りです。希望の光です。ひょっとしたら会派を越え鍼灸会全体の希望の光かもしれません。
これからも中野正得伝説をしかと見させていただきます。
うちらの大将は最高や(^O^)/
広報部
みなさまへ
中野正得先生の講演パワーポイントのPDFファイル版は以下のリンクよりご覧いただけます。
第15回公益社団法人日本鍼灸師会全国大会in静岡 鍼灸実技講座「実践!誰にでもできる脉診流経絡治療・実演」中野正得(一般社団法人日本はり医学会会長)